ジブリの人気作品『平成狸合戦ぽんぽこ』には深いメッセージが込められているシーンがたくさんあります。
作中に出てくる『死出の旅』についても何かメッセージ性がありそうですよね。
今回は平成狸合戦ぽんぽこの『死出の旅』について深堀りしていきたいと思います。
平成狸合戦ぽんぽこ|死出の旅とは
『しで‐の‐たび【死出の旅】 の解説
死出の山へ行くこと。冥途 (めいど) へ行くこと。死ぬこと。
(出典:goo辞書 https://dictionary.goo.ne.jp/word/死出の旅/)』
その言葉の意味の通り「死ぬこと」です。
高度経済成長による首都の人口増加に伴う住宅不足を解決すべく宅地開発が行われていました。
違法建築も多く、こられを解消するため人間にとって住み良い大規模な宅地開発が多摩でで行われたのです。
人間にとって住みよい街づくりのため山を削り、コンクリートで川を埋め神の如く自然を手中に収め流ようなものでした。
里山の恩恵を預かりカエルや大好きな柿木など食べて生活していたタヌキには到底馴染めぬ環境です。
タヌキ同士で住処の奪い合いの戦を行っていましたが、それどころではありません。
タヌキ達は多摩ニュータウン計画を阻止すべく団結し、衰退していた化学の復興し、人間に恐怖を与えることで工事の阻止を行っていました。
四国から長老タヌキ太三朗禿狸・隠神刑部・六代目金長を招き妖怪大作戦も決行しました。
しかし、妖怪大作戦は失敗に終わり、宅地開発の勢いは留まるところを知らずタヌキ達の居場所は奪われていきました。
開発阻止を諦めきらず暴動に出る権太を始めとするタヌキ達、開発の恐怖から現実逃避するように三朗禿狸を教組と崇め念仏踊りに勤しむタヌキ、現状を静かに見守るタヌキ達、タヌキ達はバラバラになってしましました。
隠神刑部は妖怪大作戦で力を使い果た死に、六代目金長は狐から1億円を奪ったり長老タヌキはそれぞれが何か成し遂げていました。
太三朗禿狸は自分にできることを考えたのでしょう。
齢999歳老い先短いかも知れぬ自分が死んだ後、自分を慕ってくれていた並のタヌキ達は生きていけるのだろうか。
並のタヌキ達の未来を案じた結果、太三朗禿狸は化けることができない並のタヌキを従え、集団自決の道を選ぶのでした。
念仏踊り、宗教に熱心に取り組むタヌキでしたからその了見は狭まっており、教祖の教えに疑うことなく集団自決を決行します。
並タヌキ達は死を選び、死出の旅へと旅立つのでした。
死ぬことを旅立ちというように言い換えることあります。
仏教では命日から49日間かけて来世への旅を行います。
(例外として、浄土真宗は死後直ぐに浄土へ行けるとされています。)
念仏踊りを行う時宗も仏教の一種であるため、死ぬこと=旅立ちということで死出の旅という言葉用いたのかも知れませんね。
平成狸合戦ぽんぽこ|死出の旅で表現していること
整理中の戦前の絵はがきを紹介。明治43年、熱田神宮参拝紀念絵はがきの1枚、「師長公熱田神宮大前ニ琵琶弾奏之図」。平家物語の、尾張国に流された藤原師長が熱田神宮に参詣し、神明法楽のために琵琶を弾いたという故事を描いたもののようです。エンボス加工で人物と案(机)が浮き上がっています。 pic.twitter.com/34jSphJq46
— こまいぬ@御朱印研究家 (@kokon_komainu) April 17, 2020
劇中で那須与一の扇落しや琵琶の弾き語りシーンがあるように、この作品はタヌキを平家の立場に置き換えた平家物語です。
平家物語の最後は壇ノ浦で義経軍に追い詰められた平家が入水自殺を図ります。
源平合戦をその目で見たとされる齢999歳の太三朗禿狸はこのことを思い浮かべたのかもしれまえんね。
人間として暮らすことも、狸として暮らすことも選べない並のタヌキ達は平家物語の結末を追うように「滅びの美学」に従い、船に乗りし死出の旅に出るのです。
平成狸合戦ぽんぽこ|なぜ死出の旅で宝船に乗っていたのか
死出の旅に出るため、並のタヌキは「南無阿弥陀仏」と書かれた太三朗禿狸の玉袋を広げ宝船を作りました。
「南無阿弥陀」は極楽浄土へ行けますようにという願いが込めらています。
極楽浄土とは、苦痛や痛みがなく、楽しさしか無いとされている世界です。
並のタヌキ達は結果的には入水自殺をし、死んでしまいますが、彼らの船出は今よりいいところ、楽しいところへと希望に満ちたものだったのかもしれません。
また、時宗では葬式の際に念仏一会という儀式が行われます。
これは参列者全員で「南無阿弥陀仏」と繰り返し唱える儀式です。
タヌキ達は玉袋を広げ宝船を作り旅立ちへの準備と並行に、自分たちのお葬式も行っていたのでしょうね。
『宝船のようになったのは後世の事で、元はもっと素朴なもので悪夢を乗せて流すという「夢違え」または「夢祓え」の船が原形だという(穢れを水に流すという大祓の発想に基づく)
(出典:wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/宝船 )』
元々宝船には、悪夢や穢れを水に流す、「夢祓え」という意味があります。
人間に追い詰められ先の見えない俗世への未練を洗い流し、
極楽浄土への旅に希望を込め、あのような豪勢な宝船を作り宴会しながら旅に出たのでしょう。
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まとめ:平成狸合戦ぽんぽこの死出の旅
物語の後半に出てくる死出の旅について知ると、「平成狸合戦ぽんぽこ」という作品の悲しさが以前より心に残るようになりました。
同じ種族、同じ目的・願いを持っているにもかかわらず、心が一つにまとまらず衰退していく様。
タヌキの話です他人事では無いような気がします。
大人になって見返すとまた別な見え方が見えてくるそんなところもジブリが広い世代に長く愛される理由年でしょうね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!