ドラえもんには7人の親友「ドラえもんズ」なるグループがいる事をご存知でしょうか。
おそらく今の10代の子供達は存在すら知らないと思います。
2005年に声優陣を総入れ替えして以降、登場していないキャラクターだからです。
そしてドラえもんズは、今ではドラえもんの黒歴史と言われています。果たして本当にそうなのでしょうか。
ザ・ドラえもんズとは
そもそもドラえもんズとは、ドラえもんと同じく、猫型ロボットでドラえもんを含めて7人で構成されており、各キャラクターは実際の国をモチーフにして描かれています。
初登場は、1995年3月に公開された「2112年ドラえもん誕生」です。
ドラえもんのロボット養成学校時代からの仲間として登場しました。
ここで各キャラクターの名前とモチーフにしている国を紹介します。
名前 | 国 |
ドラえもん | 日本 |
ドラ・ザ・キッド | アメリカ |
ワンドラ | 中国 |
ドラリーニョ | ブラジル |
ドラニコフ | ロシア |
ドラメッド三世 | サウジアラビア |
エル・マタドーラ | スペイン |
1996年公開の映画『ドラミ&ドラえもんズロボット学校七不思議!?』では、各キャラクターが主役級に活躍するので、本作を見る事で各キャラクターの個性を詳細に知る事が出来ます。
興味がある方は見てみて下さい。
ドラえもんズが消えた理由
ドラえもん似の個性的なキャラクター達の集団であるドラえもんズは一定の人気を保っていたものの、なぜ消えてしまったのでしょうか。
実はドラえもんズは、ドラえもんの作者である藤子・F・不二雄が考えたキャラクターでは無く、アニメシリーズの監督を務めていた米たにヨシトモ氏が、ドラえもんの派生キャラクターとして生み出したキャラクター達なのです。
一部のファンに人気があったものの、原作には登場しないため、原作ファンからの酷評があったそうです。
そのため、ドラえもん映画に同時上映されていましたが、上映される毎に上映時間は短くなり、2002年の『ザ☆ドラえもんズ ゴール!ゴール!ゴール!!』では、映像だけでキャラクターの声が全くありませんでした。
それ以降、映画での上映はされていません。
そしてその3年後、ドラえもん25周年記念をきっかけに声優陣が一新し、ドラえもんズは姿を消しました。
なぜドラえもんズは黒歴史と言われている?
上記のような事実がありますので、ドラえもんズは黒歴史のような扱いになっています。
しかし、私はそうは思いません。黒歴史と言っているのはおそらく特定のファン層に限ってかと思います。
そもそも黒歴史とは「無かった事にしたい作品や恥ずかしい思い出、忘れたい過去」などの意味で使われる言葉です。
ドラえもんズの作品には、この意味に当てはまる作品はありませんので、黒歴史とは私は思っていません。
またドラえもんズの生みの親である米たに氏も黒歴史とは思っていない事でしょう。
後年の取材で米たに氏は、ドラえもんズの完成作品を酷評されたり、原作ファンから理解されなかった事が辛かったと応えています。
さらにプロデューサーを務めた別紙壮一氏は、『ドラえもんズは藤子の作品ではない』という否定的な見解を米たに氏に示していたそうです。
上記の事から黒歴史のフラグが上がりそうです。しかし、1995年に藤子・F・不二雄がアニメコミックス「2112年ドラえもん誕生」の作品内でドラえもんズを容認します。
さらに米たに氏は、「ドラえもんズ」を見て喜んでいる子供達の様子を見ていた藤子・F・不二雄から、『ドラえもん』を引き継ぐ人達が現れたというメッセージをいただいたそうです。
そんな言葉をいただけたら、黒歴史とは思わないと思います。どんな仕事にも世代交代はやってきます。そしてそれにより新たな変化が生まれます。
その変化が連続する事で長期に渡って愛され続けられる作品が生まれます。
さて長いドラえもんの歴史においてドラえもんズは黒歴史だったのでしょうか。答えは否。
ドラえもんズの活躍があってこそ、今のドラえもんがあるのですから、決してそんな事はないはずです。