火垂るの墓とは、戦争時の日本の状況を描いた作品です。
清太(14歳)と節子(4歳)は、母親を亡くし、親戚の家に行くも、うまく馴染めず、最終的に2人で防空壕暮らしをすることになります。
満足な食事もなく、不衛生な環境の中、徐々に衰弱する節子。
清太は必死に節子を守りますが、節子は清太を置いて先に旅立ちます。清太もまた栄養失調になり、戦災孤児として野垂れ死にました。
これは一見、身寄りのない兄弟が一生懸命に戦争という時代を生き抜くストーリーに見えます。
しかし、ふしぶしに矛盾が生じているので、ここでご紹介します。
火垂るの墓|清太の家は金持ちだった?
Grave of The Fireflies – (火垂るの墓) 1988 pic.twitter.com/ofWGD8yQuw
— Studio Ghibli (@GhibliAccount) June 7, 2021
おそらく栄養失調で亡くなったとされる節子。
そして、叔母さんの家でも肩身の狭い思いをしていたことから、きっと清太と節子はお金がないのだろうと思ってしまいますが、実はお金持ちの家の子だろうと推測ができます。
2人の父親は海軍大尉です。
劇中では清太は昔、父親の観艦式を見たことがあると言っているので、節子が生まれる前から海軍にいたことが分かります。
父親は高雄型重巡洋艦の摩耶に乗艦。
歴史的には米潜水艦の雷魚攻撃で沈没し、亡くなったのではないかと考えられます。
父親の生死に関して明確に触れていませんが、当時兵隊が戦死した場合、遺族に対して補償を与えたり、保護の対象としていました。
しかし、2人が補償を受けたり、保護されているシーンはありませんでした。
また、清太が畑に盗みに入り、警察のお世話になるシーンがありますが、両親の話は出ません。
ここで大尉の息子と分かれば保護の対象になると思いますが、そのまま帰されました。
お金持ちの家なのに、それ相応の対応がされていないことに疑問が生じます。
火垂るの墓|当時の7,000円の価値
うちのおじいちゃん家をモデルにしたのかってくらいそっくり(画像は火垂るの墓) pic.twitter.com/sauCTDve0h
— ゆたか (@gameyutakasan) June 7, 2021
清太の家がお金持ち説を裏付けるのは、母親の貯蓄額です。
もしものためにと貯金していた金額が7,000円です。
現代の感覚からしたら、7,000円で生活していくのは厳しいように思えますが、当時の価値として1,000万円の価値があるとされています。
14歳にして1,000万円を手にしてしまうのです。
節子は4歳なので、お金の価値はまだ分からないかもしれませんが、14歳では相場は知っていたでしょう。
しかし、お金を積極的につかったり、叔母さんに渡すシーンは見受けられません。
1,000万円も手にしていたならば、節子にお腹いっぱい食べさせるどころではなく、医者に連れていくこともできたはずです。
しかし、それをしなかったのはなぜなのでしょう。
火垂るの墓|清太はなぜ7,000円を使わなかった?
大金を手にしながらも、使わなかったのはなぜでしょうか?
いくつか考えてみました。
1つ目は、そもそもお金の感覚が備わっていなかったのではないか、ということです。
大尉の息子である清太は、いわゆる坊ちゃん。
お金を出して、何かを買うということが分からなかったのでしょう。
2つ目は、お金を出しても食べ物が手に入らない状況だったということです。
戦後の日本は酷く物資が不足していました。
お金で得るというよりも、物々交換で生活必需品を手に入れる状況です。
劇中でも、2人の母親の着物をお米と交換しましたね。
お金があっても、食べ物がない状況であれば、お札は紙くず同然の価値です。
そして最後に考えられるのが、使う気力が無かったということです。
特に、節子を亡くした後、三ノ宮駅で寝起きする姿がありました。
まだ7,000円を持っていたら、どこへでも行けましたし、生活を整えることもできたと思います。
しかし、清太は、あえてそうしなかったのではないでしょうか。
両親が死に(父親は推測)、心のより所だった節子までが先に逝ってしまい、生きる気力が無くなってしまったのでしょう。
お金があっても、会いたい人に会えないのであれば、虚しいものです。
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まとめ:清太は金持ちだった
ストーリーの中で矛盾が感じられますが、この作品にとってはどうでも良いことなのかもしれません。
大切なのは、戦争は一瞬にして今まで当たり前だったことを壊してしまうこと、そしてその生活を取り戻すことは難しく、長い時間がかかるということです。
幼い命がなくなる悲しいストーリーではありますが、見るたびに考えさせられるものが多い作品だと思います。